ゲーム・スマホへののめり込み

千葉カウンセリングルーム

スマホについて”漏れのない情報”を得る必要があります

”正しい情報”と”漏れのない情報”の違い

我々人間は、余程のマイナスが判明しない限りは、進んだ(便利になった)ものを無くしたり止めたりすることは基本的に困難だと考えます。
そのため、スマートフォン(以下、スマホと省略)を一生使わないということは今の日本では非現実的です。

しかし、だからといって何も考えずに渡しては、子どもにとってマイナスになります。

まず親自身がスマホについて”漏れのない情報”を得る必要があります

ここで”正しい情報”ではなく、”漏れのない情報”というのには理由があります。

たとえば生命保険でも不動産でも、一般的に業者側は契約するためにマイナスにならない”正しい情報”を伝えます。
業者にとってマイナスになる正しい情報、つまり”漏れのない情報”は、法律で決まっていない限りは業者側から(よほど良い営業マンでないと)自主的には教えてくれません。

スマホでいうと、業者側から「一日1時間以上スマホを使っている子どもは勉強の成績が下がっている
という売る側にとってマイナスな統計は(当たり前ですが販売する時には)教えてはくれない(もしくは業者も知らない)のです。
(スマホを使用していると、勉強をして睡眠をとっていても成績に影響します。
仙台市の『学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト』をご覧いただくと分かりやすいです。是非一度ご覧ください)

お子さんが発達障害(ADHDや自閉症)の場合、ゲーム・スマホにのめり込みやすい、というデータもあります
現実生活と違ってすぐに結果・成果がでやすいゲームは、発達障害の方とは良くも悪くも相性がよいのでしょう

とくに漏れのない情報としては、ゲーム・スマホ(に限らずタブレットなど操作するスクリーン全般)は依存性があり脳の発達を妨げる、という点は親としておさえておきたいです。

”漏れのない情報”を得たい方は、是非一度スマホ依存防止学会のページをご覧ください。
依存という単語がでると少しこわい気もしますが、実際には親の味方(もちろん子どもの成長も考えています)で、親の様々な疑問を解消できると思います。
(カウンセラーも所属しています)

ESS症候群(電子スクリーン症候群)について

スマホ・ゲーム(に限らずスクリーン全般)についての”漏れのない情報”で、是非知っておいていただきたいものにESS症候群(electronic screen syndrome)があります。

『子どものデジタル脳完全回復プログラム』
Victoria L.Dunckley(2015).RESET YOUR CHILD’S BRAIN-A Four-Week Plan to End Meltdowns,Raise Grades,and Boost Social Skills by Reversing the Effect of Electronic Screen-Time.New World Library.(ヴィクトリア・L・ダンクリー 川島隆太(監)鹿田昌美(訳)(2022)子どものデジタル脳完全回復プログラム 飛鳥新社)
によると、ESS症候群は米国の小児精神科医のダンクリー博士が提唱している概念です(正式な診断名ではありません)。

子どもの症状としては、
イライラ・落ち込み・気分の急変(キレる)・欲求不満への耐性低下・不眠・スポーツマンシップの欠如・アイコンタクトの欠如・短期記憶の低下などがあります。
チック・吃音・幻覚・発作が起きることもあります。

ほとんどの場合に、イライラ・実行機能(推測・計画・行動といった物事を行う際に必要な能力)の低下がみられます

上記の症状は、ADHDやうつ病、不安障害などにも見えます。そのため、通院して投薬されるのですが、効果がなく途方にくれる親もいらっしゃいます。

その他、スマホに限らずにスクリーンを操作していると、脳の視覚野(脳の後ろの部分)が活発に働くのですが、
前頭前野(我慢・集中・思考・おもいやる、といった人を人たらしめる機能の部分)の働きが抑制されるので、様々な支障が現れます。

たかだかスマホやゲームで大げさと思われるかもしれませんが、
日本では1997年にポケモンのテレビを見て600人以上が病院搬送されて100人以上が入院となりました。視覚的な刺激が脳に影響を与えることを示す例と言えるでしょう。

もしかしてうちの子もESSでは…、と思われた方は『子どものデジタル脳完全回復プログラム』を読まれても良いと思います。令和4年に訳本が出てくれました。

ESSについて、「良く分からないし、聞いたことないし。本を買うまでは…」と思われる方は、まずはESSリセット研究会のホームページをご覧ください。

ゲーム依存・スマホ依存を防ぐために

「親子でルールを話し合ってフィルタリングをすれば大丈夫」は本当?

親はスマホについて悩みますが、
販売する業者側は「親子でルールを話し合ってフィルタリングをすれば大丈夫」
と言うでしょう。

社会の雰囲気も、
どんなものにもメリット・デメリットがあり、使い方の問題であって最初から否定することは良くない。
使いこなせるように前向きに向き合うのがカッコイイ、のような風潮はありませんでしょうか。

たしかに「親子でルールを話し合ってフィルタリングをする」ことは必要ですし”正しい情報”です。しなくて良いわけではありません。

ですがルールを決めても、親が愛情を注いでも、スマホには依存性があり、操作していれば脳は影響をうけてしまうというのが”漏れのない情報”で現実です。

またフィルタリングを設定してもLINEなどに表示されたページにフィルタリングは効きません。

親子でルールを話し合ってフィルタリングをしたからといって大丈夫なわけではありません。

子どもにスマホを渡すなら、親が漏れのない情報を得て、その上で子どもに本当にスマホを渡すべきか、渡すなら何歳(何年生)からか、渡す際に子どもとどのようなルールを約束するか、ということになります。

その結果、親がスマホを子どもに渡さないと決めても、(年齢にもよりますが)子どもはありとあらゆる手を使って親に買わせようとするものです。

親もスマホを持たないことで友達関係に支障が出ないか心配になります。

やむをえず実際に子どもにスマホを渡したら、大抵の子どもは今度は何とかして使用時間を伸ばそうとしてきます。

現在は、親としてはスマホを買って子どもに渡しても大変なことになりますし、買わないでいることも大変な社会と言えます。

学校が学習用パソコンを一人一台配ったことも、スマホ(スクリーン)から子どもを守りたい親にとっては逆風と言えるでしょう。
これから日本もどうなるか分かりませんが、現時点では国のGIGAスクール構想に逆行するようなもので、親の側も知識が必要になります。

ゲーム・スマホを取り上げて家庭内暴力になっていませんか

日々の相談の中で、お子さんのゲーム・スマートフォンの利用についてお困りの保護者の方はとても多いです。
とくに不登校、家庭内暴力と密接な関係があります

よくあるのが不登校→ゲーム・スマホへののめり込み→ゲーム・スマホの禁止・取り上げ→家庭内暴力の展開です。

学校に行かないでゲーム・スマホばかりしている子どもに対して、
ゲーム・スマホを取り上げて、子どもが暴力をしてきて親が反撃。
収集つかなくなって警察を呼んだ時には子どもは落ち着いていたが、親の反撃を虐待とされて児童相談所に身体的虐待で書類通告。
児童相談所の家庭訪問で叩くことは虐待と注意はされるが、何も困り事は解決しない、という苦しい展開はよくあります。

こうなった場合、お子さんの年齢にもよるのですが、断ゲーム・スマホ(取り上げ、使用を禁止する)は 現実として難しいと考えます。

これをすると、男子の場合は家庭内暴力、女子の場合は家出などに繋がって、結果的に家族全員が傷つくことになりかねません。
よって、減ゲーム・スマホ(利用時間を減らす)を目指すことが現実的と考えます。

しかし、あえて理想を言わせていただくと、断ゲーム・スマホをできると良いです。

ゲーム・スマホから離れることで、睡眠の改善、イライラ・不安・抑うつの改善、ゲーム・スマホに代わる健康的な行動の促進や学習成績の向上も期待できます。

断ゲーム・スマホのメリットは大きいですが、取り組むにはそれなりの準備と家族全員の協力が必要になります。
ご希望の際には、千葉カウンセリングルームにご相談いただければと思います。

また子どもがゲーム・スマホを減らすことを受け入れる余地がみられない、手放せない、という状態になると、在宅での改善は難しいこともあります。
医療機関に入院して一旦ゲーム・スマホから離れて治療を受けた方が良い場合もあります。

子どもはゲーム・スマホから何を得ているのか

ゲーム・スマホの問題を扱う第一歩は、「子どもはゲーム・スマホから何を得ているのでしょうか?」だと考えます。

この視点がスタートラインです。
多くの子どもは現実社会(リアル)では得られないこと(達成感・有能感・他者との繋がり・チームへの所属感など)を得ています。

ゲームがあったから生きてこれた、という子どももいます。
子どもにとってはストレスだらけの現実社会からの大切な逃避場所になっています。

こうなると子どもとしては、たかがゲーム、たかがスマホではありません。禁止されたら必死で抵抗することも理解できます。

千葉カウンセリングルームでは、ゲーム・スマホの使用を減らすならば、その減った分を埋める「何か」を現実社会で作る必要があると考えます。
これを具体的にどうするかは、そのご家庭・子どもによって変わってきます。

またゲーム・スマホのルールを親子で決めても、基本的には守られません(守れている子どもは2割に満たないです)。
その状況で、時間を減らすことを親子で話し合うとトラブルになりやすいです。
第三者が入った安全な状況で話し合うことも有効です。

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