不登校のカウンセリング

千葉カウンセリングルーム

不登校との距離感と支援の姿勢

親としては学校に行ってほしいのは当然

不登校の子どもは平成24年(2012年)以降、増え続けています。

文部科学省の『令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』によると、
不登校の子どもは小学校で63,350人、中学校で132,777人と8年連続で増加しています。

統計上は中学校の不登校は1000人あたり40人という結果ですが、
実際に不登校の中学生は珍しくないのが現実です。

そして文部科学省は、「不登校は問題行動ではない」としています。

不登校は問題行動ではなく、不登校の子どもも増えて、学校への評価も様々あると思います。

ですが千葉カウンセリングルームでは
「学校は行けるならば(行けるようになるならば)、行けるにこしたことはない」
と考えています。

学校への評価は様々あるとしても親の立場からすると、
長時間にわたって子どもの面倒を見てくれ、(あるところでは)栄養に配慮した給食もあり、設備が一通り揃い、(公立の場合は)費用も安く、関わる大人が親身になってくれる、そのような(不登校にならなければ)便利な機関だと思います。

また多くの機能(知識・技術の習得、体力向上、道徳や人間関係の学び、多感な時期を仲間と過ごす時間等)がパッケージングされていて、
体験できる内容がとても多いからです。

そして何より、子どもが親から離れて自立していくためには、
「家の外で、親の助けがなくても自分は大丈夫。やっていける。」
という感覚が必要になります。

この感覚は、家庭の外で仲間との時間や学業・スポーツなどでの体験を通じて味わえることが多いです。

このような体験ができる場所は、今の日本ではやはり学校が第一候補になるでしょう。

学校外の塾やスポーツなどもありますが、無理に学校を外す必要もありません。

また学校に適応できなかった子どもの行く場所というイメージが伴いやすい場所は、
子どもが利用するのに抵抗を感じやすくなります。

千葉カウンセリングルームとしては、
学校に行き将来の自立に必要な家庭外での成功体験を積むことができれば、それにこしたことはないと考えます。

不登校支援の基本的姿勢

文部科学省の『「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日』に以下の記載があります。


不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。
また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

文部科学省『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』2019年 より

千葉カウンセリングルームも上記の内容には同意しています。

学校に行けるにこしたことはない、と思いますが、
親が本当に望んでいることは、
子どもの幸せ(幸せの定義はここでは省きます)と将来の自立のための成長でしょう。

いじめが改善しなかったり、そもそも学校が子どもに合わないのならば、
子どもの幸せと成長は叶いにくくなります。

不登校のもつプラスの側面(自らの生き方を主体的に選択する)も意識して、
子どもの幸せと成長のために学校以外の選択肢が更に増えてほしいと思っています。

不登校の要因

学校で消耗して家庭で回復できないと…

不登校の状態像は本当に人それぞれで、不登校の要因も異なるので一概には言えません。
そのため、不登校支援は”応用問題”という表現もされるくらいです。

当たり前ですが、就学前・小学校低学年と中学生では要因も異なることが多く、不登校に伴う症状・行動も異なります。

就学前・小学校低学年の要因としては、
どちらかというと母親から離れることの不安の割合が高いことが多いです。

一方、思春期年代では(親からみると小さな)失敗・つまづきでも、
(思春期年代ではまだ経験が少ないので)子ども本人が過剰に反応して、家庭外でやっていけないと思ってしまい家庭内に引きこもる、
という構図が多いです。

中学生は小学生よりも不登校になる割合が高いですが、
要因としていじめのような決定的な要因もありますが、複数の要因がタイミング悪く重なってしまった結果の不登校もあります。

友達との関係性、担任の子どもへの理解度と相性、部活動の練習の厳しさやレギュラー争いの挫折、恋愛(告白の失敗など)、学習のついていけなさ、
といった思春期の子どもが揺れることは他にも沢山あります。

そこに家庭でも子どもがストレスを感じている状態が重なると、
学校で消耗したエネルギーを回復する場がなくなります。

その結果、学校で踏ん張り続けることができなくなります。

ESS(電子スクリーン症候群)も不登校の要因では?

このホームページのESS症候群(電子スクリーン症候群)について
に記載していますがESS症候群(電子スクリーン症候群)は正式な診断名ではありません。

ですが千葉カウンセリングルームとしては、
令和の時代の不登校を考える上で欠いてはならない概念だと考えています。

平成28年、文部科学省の『不登校児童生徒への支援に関する最終報告~一人一人の多用な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進~』には、以下のようにあります。

カウンセラーとしては大変興味深い内容です。

「平成18年度不登校実態調査」では、「不登校のきっかけ」として、「友人との関係」が52.9%、「生活リズムの乱れ」が34.2%、「勉強が分からない」が3 1.2%となっている。(中略)
また、「平成5年度不登校実態調査」にはない選択肢「生活リズムの乱れ」が「平成18年度不登校実態調査」では2番目に多く選択されている点にも留意する必要がある。(中略)
また「不登校の継続理由」との関連が高い「不登校のきっかけ」として、「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため」では、「勉強が分からない」「生活のリズムの乱れ」「インターネットやメール、ゲームの影響」(後略)

不登校に関する調査研究協力者会議『不登校児童生徒への支援に関する最終報告~一人一人の多用な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進~』2016年 より

カウンセラーの実感としても、不登校の子どもの”無気力””勉強が分からない””生活のリズムの乱れ”は年々増している印象です。

そして、この”無気力””勉強が分からない””生活のリズムの乱れ”は
スマートフォンやゲームなどの利用によるESS症候群(電子スクリーン症候群)の症状ではないか、
と考えています。

”夜遅くまでスマホやっていたら、睡眠不足で生活リズムが乱れるだろう”という話で済ませるのではなく、
脳に影響が出ている”
という考え方が、我が子を守ることに繋がるのだと思います。

いじめと不登校

思春期はいじめがおきやすい時期です

いじめを肯定するつもりはありませんが、思春期はいじめが起きやすい時期と言えます。

ギャンググループ・チャムグループ・ピアグループという言葉をご存知でしょうか。

ギャンググループは男子に多く小学校高学年頃、チャムグループは女子に多く中学生頃に良く見られる仲間集団です。

どちらも”同じ”であることを重視し、”違う”ものを排除・攻撃することもあります。
(大人も外側に敵を作ることで自分達の団結を強めることがあると思います)

ピアグループは高校生以後にみられる異質性を認められる集団です。

ではギャンググループ・チャムグループが無くなるように大人が見張れば良いかというとそうではなく、
思春期に親からの自立に挑戦する際に、親の抜けた部分を埋めて子ども自身を支えるために必要な仲間関係です。

多くの学びもあり、生涯の友人を得る機会とも言えるでしょう。

ただ、いじめの要因になるものではあると思います。

いじめへの対応は難しいです

学校でのいじめはやはり学校の先生に何とかしていただきたいですが、うまくいかないこともあります。

特にいじめられる子どもに発達障害などの何らかの課題がある場合、
いじめられる子どもにも問題がある、
と先生が言うことも現実にはあるでしょう。

こうなると、いじめる側はいじめの大義名分を得たことになります。

いじめを見て見ぬふりをしていた子ども達も、いじめる側についた方がメリットが多くなっていき、
自分がいじめられない為にも、いじめに加担する子どもが増えていきます。

いじめられる子どもは益々孤立してしまいます。

上記は一例ですが、いじめへの対応は学校の先生方にも難しい面があります。

いくら親が我が子の味方をしても、いじめの不安を感じる学校には戻りにくいものです。
もし学校でいじめへの対応がうまくできない時は、転校も選択肢になると思います。

不登校の子どもの状態像

不登校の類型

不登校については、性別・年齢・要因・期間・重篤の程度・発達障害や精神疾患の有無などによって色々な分類の仕方がありますが、
齊藤先生(齊藤万比古『増補 不登校の児童・思春期精神医学』 金剛出版 2016年)は、子どもの年齢では2つ、思春期の不登校のタイプでは4つに分けています。

年齢では、小学校低学年までと思春期(小学校高学年から中学生年代)で分けています。

思春期の不登校について、タイプでは過剰適応型、受動型、衝動型、混合型の4つに分けています。

過剰適応型は学校や仲間に抵抗できることを強調し、弱みをみせず失敗や恥を過剰に恐れます。
受動型は周囲に圧倒され委縮して身を固める状態です。
なかには能動的にならないことが自己主張(受動攻撃性)になっている子どももいます。
衝動型は衝動的な振る舞いや加減の無さから仲間から孤立してしまいます。
混合型は前3タイプが混合したものです。

文部科学省は『平成18年度不登校実態調査』では、
「不登校の継続理由」から傾向分析し、
「無気力型」、「遊び・非行型」、「人間関係型」、 「複合型」、「その他型」の5つに類型化しています。

千葉カウンセリングルームとしては、
この「無気力型」には特にESS(電子スクリーン症候群)が関連していると考えてます。

不登校の併存症状

不安や抑うつ、強迫(手洗いや確認など)、睡眠の問題、摂食障害などは、
不登校の前からだったのか、不登校の結果としてなっているのか、
の前後関係が分かりにくいかもしれませんが、思春期の不登校ではみられる症状です。

また発達障害・知的障害は対人関係に影響するため、不登校の要因になりえます。

ゲーム・インターネットへののめり込みはもちろん、家庭内暴力も珍しくありません。

不登校と一括りにしても、その要因も子どもの状態像も様々です。

複数の症状が重複することも多いため、親としても何が要因なのか、わけが分からなくなることもあると思います。

身体症状について

不登校の子どもの多くが、どこかのタイミングで頭痛や腹痛といった身体症状を訴えます。

山崎先生の書籍(山崎透『不登校支援の手引き 児童精神科の現場から』 金剛出版 2019年)によると、
不安・抑うつの症状がなくても、身体症状のとらわれやこだわりが優勢な子どもは、不安・抑うつ症状を伴う子どもと比べて、身体症状も不登校も長期化しやすい、
としています。

また身体症状の持続期間と不登校期間が正の相関関係(身体症状が長いと不登校も長くなりやすい)にあり、
身体症状のある時期の対応が不登校支援において重要としています。

ですが不登校の子どもが身体症状を訴えた場合、
周囲の大人(特に学校の先生は立場上)は対応に困ると思います。

参考として、山崎先生の書籍から概要を抜き出して記載させていただきます。

①身体疾患と鑑別する

不登校の子どもが身体症状を訴えると、大人は安易に「精神的なもの」として解釈してしまいがち。

しかし、頭痛が脳腫瘍などの可能性ある。医療機関で診療・検査をうけ、身体疾患を除外することが第一。
その上で、不登校に伴う「心理状態に関連して出現する身体症状」として対応していく。

②身体症状を強化しない。
医療機関で身体疾患を除外しても症状は続く。そのため、別の医療機関を受診することもある。

こうした検査の繰り返しは、子どもの身体症状への関心を高めることがある。
また受診のたびに医師に「精神的なもの」と片づけられることで、身体症状にしがみつきやすくなることもある。

親が身体症状を「詐病」「怠け」として登校を強制したり、「症状がよくなれば登校できるはず」と身体治療に躍起になることも、
身体症状を強化したり長引かせることになる。

③子どもとのやり取り
まず身体症状の存在を認め、そのつらさを汲むことから始める。

その上で、「医師に精神的なものって言われて、どう思いましたか」「ストレスがかかると体の症状が起こりやすい、と一般的に言われているんだけど、何か思い当たることはありますか」
などと問いかけて、子どもの反応をみる。

その後、基本的には身体症状についてはその存在を認めつつも、あまり大きな関心を張らず、
「体調と相談しながら、日常生活をどう工夫していくか一緒に考えよう」という姿勢で望む。

面接を重ねる中で、子どもが身体症状を「手放し」て、
本来の課題に取り組めるよう支援することを心がける。

思春期の親に対する葛藤について

千葉カウンセリングルーム

思春期の子どもが不登校になると、家庭内で暴力・暴言・物を壊すなどをしたかと思えば親に甘えてきたり、といった相反する極端な行動をすることがあります。

親としては、子どもが何を考えてるのかさっぱり分からない、と感じるのではないでしょうか。

思春期は、親から自立していく第一歩の時期です。

これまであった親の支えを外すには、新しい支えが必要になります。

家庭外の学校や仲間を新しい支えとすることができれば良いのですが、
不登校は新しい支えの獲得に失敗した状態とも言えます。

となると子どもは親(家庭)の元へ戻るしかないのですが、
思春期になるとこれが激しい葛藤を生みます。

苦しい社会(学校)を避けて以前のように母親に依存し甘えたい、
でもその状態は思春期の子どもには居心地が悪く、自分自身の社会での挫折と失敗を明確にしてしまう。

母親にくっつきたいが、くっつけない、といった状態になります。

この葛藤が高まっている時に、親から何らかの刺激があると家庭内暴力にもなります。

相反する両極端な心理で葛藤し、それが時に行動にも現れる、
ということは思春期の特徴の一つで、とくに不登校の場合には顕著にみられるでしょう。

不登校の支援(思春期以降で長期化している場合)

なるべく多くの大人が当事者意識を持てると理想です

ここでは思春期の不登校についての話になりますが、
”学校に行けなくなるのは何故?”に書いたように、不登校は複数要因がタイミング悪く重なり、
子どものストレス許容範囲を超えたことを表す事象とも言えます。

要因が多ければ多いほど、不登校要因に関わる大人が多いことになります。
この関わる大人達がみな当事者であるという意識をもてると、子どもも動き出しやすくなります。

またこの考え方の良い点は、大人の全員が当事者ですので、特定の犯人を決める必要はありません。
大人それぞれが自身の領域で子どもに合わせて出来ることをすることになります。

とくに不登校の要因を父親が母親に押しつけ、母親を追い詰めると、
更に母子密着が強くなって引きこもり方向に進み、逆効果になります。
これは避けたいです。

不登校の回復段階

不登校の経過については齊藤先生(齊藤万比古『増補 不登校の児童・思春期精神医学』 金剛出版 2016年)の書籍によると、
不登校準備段階・不登校開始段階・引きこもり段階・社会との再開段階の4段階となっています。

またこの4段階は不登校が長期した際に当てはまりやすいもので、必ず通る段階論ではないとしています。

不登校準備段階では、身体症状を伴う場合も、伴わない場合もありますが、
学校に居ることのストレス、登校の葛藤は高まり続けます。

子どもは身体症状を訴えることもありますが、よくある症状(頭痛・腹痛・不眠・身体がだるい・気持ちが悪いなど)でもあるので、
周囲は子どもが学校についてストレス・葛藤を高めていることを認識しにくかったり、軽視しやすい時期と言えます。

不登校開始段階では、不登校の急性期とも言え、登校をめぐって激しく葛藤をします。
その葛藤は、家庭内暴力や精神的な不安定さといった目に見える形でも表現されやすいです。

激しい葛藤は、子ども自身を消耗させます
この時期に子どもを正論で説得しようとしたり力づくで登校させようとしても登校には結びつかず、
子どもの回復を遅らせる逆効果になります

周囲は、休養が必要な状態であることを理解することが必要です

ひきこもり段階では、目に見える形では周囲を避けて引きこもったりしますが、
心理的には不登校開始段階より穏やかに過ごせます。

徐々に余裕がでてくると、自らの葛藤を解決しようという気持ちが生まれることもあります。

その後(齊藤先生によれば)「いつからか、そっと、第四段階(社会との再会段階)に入っていく」とあります。

また、「特に第四段階(社会との再会段階)の開始を敏感に察知することは治療・援助の成否を左右する勘所となるだろう。
と書かれています。

子どもが意欲的な発言をすると周囲はチャンスとばかりに飛びつきたくなりますが、
なるべく焦らずに、自宅外の活動が増えるように丁寧に関わることが求められます。

その他、インターネット上で調べると3段階だったり、6や7段階だったりと色々ありますが、
大体は齊藤先生の内容を更に細かくして、子どもの状態(不登校の罪悪感の有無や生活の様子)と親の関わり方を分かりやすくしたものと思います。

なぜ不登校の支援においてどこもかしこも段階を訴えるかというと、
不登校は段階によって効果的な支援が異なるからでしょう。

不登校開始期の子どもに高校進学の話題を促すと逆効果のこともありますが、
社会との再会段階の子どもには活動性を高める可能性もあります

段階を踏まえた子どもへの関わり方を考える上で、

一番のポイントは社会との再会段階の見極め方でしょうか。

子どもがどうなれば、子どもの背中を押すことを始めて良いのか、という質問は多いです。

いくつかあげますと、
エネルギーの回復(会話がふえる、体力をもてあます、外出が増える)
自宅外への興味(友人の状態や学校行事、勉強や進路のことが気になる)
時間をもてあます(暇を感じる)
などが子どもが回復をしてきた兆候と言えます。

不登校の子どもの状態は親にしか把握できません。
難しく大変なことですが、過干渉や監視にならないように、子どもを気にかけることが必要になります

親の心がまえと関わり方

不登校も珍しくなくなったとはいえ、実際に我が子が不登校になると親は動揺します。

不登校は親の意気込みと努力量に対して子どもの改善度が比例しにくいので、
改善の見通しがもちにくく、子どもの将来が心配になります。

こうなると親としては不安・焦り・怒りを抱えて当然なのですが、
その感情を子どもに直接ぶつけると逆効果になります。(ブリーフセラピーの用語でいうところの偽解決)

母:「いつまでそうしてるの?あなた昨日、学校行くって言ったじゃない。ゲームばっかりして。それで良いと思ってるの?」
父:「誰だって嫌なことはある。逃げるだけじゃなくて、乗り越えろ!」

という台詞は正しいのですが、現実には効果はなく、子どもは更に守りに入って動かなくなります。

親の発言が正論であれば正論であるほど、子どもとしては反論しようがなく、引きこもったり暴力で応じることになります。

まずは親自身を支える環境があると良いです。
親の不安・焦り・怒りは子どもに直接ぶつけるのではなく、親が相談できる大人に聞いてもらいましょう。

以外かもしれませんが、子どもは親の変化を感じ取るものです。

親(他者)が落ち着くと、子どもの意識は他者ではなく自分に向くようになってきます。

親→子ども、の順番です

親が落ち着いて一旦子どもの不登校を受け入れると、
子どもも自宅でエネルギーを回復するようになります。

そして自分の現状・進路を話題にできるようになってきます。

ですが、子どもが前向きな発言をしたからといって、
大人がここぞとばかりに子どもを動かそうとすると、子どもはまた殻にこもってしまうこともありますので、焦りは禁物です。

子どもの意思を確認し、緊張・不安をうかがいながら具体的な行動に移していきます。

以前の学校に戻る前段階として昼間の活動場所があると、
子どもとしてはスモールステップを踏めることになります。

子どもの状態にもよりますが、以前の学校ではなく、フリースクールや適応指導教室に通えることをもって一旦のゴールとすることも選択肢でしょう。

子どもの年齢にもよっては、たとえば中学生の間は昼間の活動場所を利用し、高校から再スタートをする、
というのも選択肢として有効です。

文部科学省の『「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)』によると、
中学卒業後の高校進学率は85.1%とあります。

実際の相談現場の感覚としても、高校進学を学校への再挑戦とする方は多いです。

話は急に変わりますが、
子どもの養育についてあまり考えすぎないで、とにかく本気で親の考え・思いを伝えることが有効なこともあります。

とくに不登校が始まったばかりの頃、家族の本気の一声で子どもが学校に行くこともあります。

ですが親が本気で思いを伝えても、子どもの不登校に変化がないならば、
親の思いでは解決できない不登校の要因があるのかもしれません。

そして親としては本当に困りますが、
子どもは不登校の理由を言わない(言えない)ことも珍しくありません。

こうなると、親としては努力するポイントも分からなくなるので、改善への希望も持ちにくく、不安になるでしょう。

親子ともに苦しくなる中、何とか子どもを動かそうとして親子のコミュニケーションも一方向になりがちです。

しかし、親からの一方的なコミュニケーションはあまり奏功しないことが多いものです。

まずは親子のコミュニケーションを改善し、子どもが学校に行かずに家にいても安心できることが必要です。

その他、不登校の子どもを支えるポイント

①(これまで長々と書いてきた内容ですが大事なので繰り返します)親や大人の不安・焦りを子どもに直接ぶつけない。

これは不登校の回復段階に記載しましたが、子どもの状態によって必要な親の対応も変わります。
再登校を促すにも、タイミングが大事になります。

親の不安・焦りは、このタイミングに支障をきたします。

我が子の不登校に不安・焦りを抱かない親はいないと思いますが、
頭の片隅のこの知識をもっておくと良いでしょう。


どうしていくかを子どもに選択・決定してもらう。
親が決定して、その決定に合うように子どもを動かそうとしない。

これは自分の人生を主体的に生きることを早くから体験できる、ということでもあります。
(不登校のプラスの側面でもあります)

不登校から抜け出し、どこかに通えるようになったとしても、新たな場所で躓くことはあります。
成人してからの挫折もあるでしょう。

その時に、親や周囲からの被害感ばかり訴えて前に進まない、ということを避けて、
自分で責任をとることに繋がります。

何かをやってみる際に、うまくいかない可能性も踏まえておく。

当たり前ですが、不登校を打開しようと何かをやってみて、うまくいかないことはあります。

(親の気持ちは分かりますが)その際に、子どものせいにしない、ということです。

たとえば、子どもが他の学校なら通える、と言ったので転校したとします。
もし転校先でも通えなかった場合に、
「おまえが転校すれば学校行くと言ったから、大変な思いをして転校できるようにしたのに」と、
親は言わないということです。

その他、子どもの友達の助けを借りる、親が仕事を減らす、学校に何かをお願いする、といったことも、
表面的には効果がなかった(子どもの中では変化がおきているかもしれませんが)、
ということはあります。

この時に、子どもの責任にすると、子どもは更に苦しくなります。

うまくいかなかったとしても、親自身が納得できる状態で試せると良いと思います。

不登校に結びつけて制限を増やさない。かといって放任するわけではない。

たとえば、学校に行ってないのに〇〇することは認めない、学校に行ってないんだから〇〇(家の手伝いなど)くらいしなさい、などです。

子どもとしては不登校の自分に負い目があります。

そこに更にペナルティを上乗せされると自信が減り、親への反抗心も増します。

かといって、放任して、やりたい放題になると、ずっとゲーム・動画・SNSなどに熱中してリアルでの社会参加は更に困難になっていきます。

基本的には、不登校だからといって新たに何かを禁止したり、ノルマを課したりする必要はないと考えます。

不登校とは関係なく、スマホ・ゲームを含めた家庭のルールを守り、家族と雑談をし、年齢相応の手伝いをする、といった生活ができると良いです

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